ー泣かせない子育てから泣かせる子育てへー
「癒しの子育て」で泣き上手・甘え上手な子どもに育てる
「癒しの子育て」は、お母さんや子どもを、そんなふうに考えて、親子が互いに癒し癒される子育てです。
そのポイントとなるのが、子どもが甘え上手に、親が甘えさせ上手になること。
甘え上手とは、無理難題を親にふっかけること ではありません。甘えさせ上手もまた、子どものでたらめな要求に応えることではありません。
「癒しの子育て」で言う甘え上手とは、気持ちを親に訴えられることです。例えば、「ママがいなくて寂しかったよぉ」とか「上手にできなくて悔しいよぉ」とか、泣いて甘えられることです。
もっとも幼ければ幼いほど言葉で気持ちを表現できるはずもありませんから、ただただエーンエーンと泣くだけなのですけれど。
そして、甘えさせ上手とは、そんな子どもの泣きを大らかに「よしよし」と聞いてあげることです。
大好きなお母さんに抱っこされながら、泣き言を聞いてもらえたら最高です。
甘え上手とは、泣き上手のことでもあります。
子どもは泣きをお母さんに受けとめてもらえると、自分で先へ進む意欲を取り戻します。マイナス感情をお母さんに吸い取ってもらって、スッキリするのです。弱音を吐く自分さえもお母さん
は受けとめてくれると肌で感じますから、ありのままの自分に肯定感や自信を持つことができます。
泣いて甘えて子どもはのびのびと実力を発揮し成長するのです。ところが、現代社会は泣き言をなかなか言わせてくれません。子どもが泣けば、すぐに泣き止ませるのが親の務めのような有様です。電車で泣き出した赤ちゃんに慌てるお母さんはたくさんいます。心無い大人に「うるさい」と言われないようにしなくてはならないからです。無言の迷惑そうな視線もさぞや痛いことでしょう。
また、こんなふうに思うお母さんもいらっしゃいます。「泣くのはかわいそう。だから止めないと」。
実は泣くというのは、自己治癒の真っ最中なのです。
注射の時に「痛い、痛い」と言った方がストレスが少ないのをご存じでしょうか。泣くのもそれと同じです。悲しい時、辛い時に「悲しい、辛い」と泣けると、立ち直りが早いのです。女性の方が長生きなのは、男性より泣き上手なおかげです。
かわいそうな出来事で傷ついた心を泣いて癒しているのですから、泣かせてあげるといいのです。 また、こんなふうに思うお母さんもいらっしゃいます。「泣くのはかわいそう。だから止めないと」。
実は泣くというのは、自己治癒の真っ最中なのです。
注射の時に「痛い、痛い」と言った方がストレスが少ないのをご存じでしょうか。泣くのもそれと同じです。悲しい時、辛い時に「悲しい、辛い」と泣けると、立ち直りが早いのです。女性の方が長生きなのは、男性より泣き上手なおかげです。
かわいそうな出来事で傷ついた心を泣いて癒しているのですから、泣かせてあげるといいのです。
泣かせない子育てから泣かせる子育てへ
とは言っても、先ほども言いましたが、現代社会は泣くことに対して冷ややかです。泣かせない子育てが幅をきかせていたと言えます。そんな中で育ってきた親に育てられてきたのですから、「泣かせてあげるといい」なんて言われても、すぐにできるものでもありません。自分が子どもの頃には、泣いてはいけないと言われていたのに、自分の子どもには泣いていいなんて、それこそ、いきなり空を飛べと言われたようなものです。
子どももまた、無意識のうちに泣くのはいけないことだと学んでいます。だから、泣きたいけど泣かないように知恵を絞るのです。わざとふざけたり、気をそらしたり、理由をつけて逃げだそうとしたり、平静を装ったり、怒ったり。それは大人も同じですね。
つまり泣き下手になってしまうのです。泣き下手は甘え下手でもあります。と言うことはのびのびと実力を発揮するのが難しくなってしまいます。
子どもの甘え下手の原因は、そうした今までの社会が泣かせない子育てを見直さなかったことだと思います。個々のお母さんがひとりで背負い込むことではないのです。
「抱っこ法」は気持ちを抱きしめる方法
「抱っこ法」は、気持ちを抱きしめる方法です。甘え上手・甘えさせ上手な親子になって、日常に抱っこ法を活かせるように応援するのが、私たち援助者(ホルダーとも言います)の役目です。
心の中に訴えそびれた気持ちがモヤモヤと溜まった時、本来の素敵な自分を見失ってしまいがちです。甘え下手・甘えさせ下手な親子は、どうすればモヤモヤを上手に晴らすことができるのか分からなくて当然。
そんな時、援助者が仲立ちをして親子をつないだり、お母さんを手伝って子どもを甘え上手に導いたり、体でのやりとりを習得してもらったり、お母さん自身のモヤモヤを吐き出してもらったり、お母さんも甘え上手になる手助けをしたりします。
自分を抱きしめ、我が子を抱きしめ抱きしめられ、存在そのものを体で受けとめ合えると、そのつながりがお母さんにも子どもにも力をくれます。目の前のこの子でいいんだ、この私でいいんだと思えるようになります。親子共々、本来の自分の力を発揮できるようになるのです。
泣いて甘える・泣かせて甘えさせることが、日常でできるようになること。抱っこ法のセッションに来られる親子に目指してもらうのはこれです。
それができると、逆に、どうしても諦めずに頑張って欲しいことも、子どもにやってもらえるようになります。つまり、しつけができるようになるのです。カッコイイお兄さん、お姉さんになれるよう応援できると言ってもいいでしょう。
それは、「ヤダヤダと言って泣きながら、やるべきことはやる」という道が、抱っこ法でなら可能だからです。
「イヤダ」という気持ち、自信の無さや怖れ、あるいは、「イヤダ」と言い張ることで訴えたいもっと別の気持ちを、体の押し問答で聞きながら、やって欲しいことに導いてあげるという道です。気持ちは我慢させず、でたらめな行動は我慢させるのです。
例えば、お菓子を買ってと泣き叫ぶ子の手を引いて歩くお母さんを見たことはありませんか。子どもは大泣きしながらも、ちゃんと自分の足で歩いていますよね。買ってもらえない悔しい気持ちを発散しながら、足はちゃんとお母さんの言うことをきけているわけです。気持ちを発散しながら、やることはやるって、一石二鳥でお得じゃないですか。
子どもの成長意欲はスゴイですから、お母さんが、「イヤダ」に屈してしまうのは、ちっとも嬉しくないのです。だって、カッコワルイボクやワタシのままになってしまいますからね。そんな自分に満足するほど、子どもは愚かではありません。
これは大人になっても使えるんです。「文句言いながらもやることはやる」。これまでの日本の大人の常識から見たら、決して格好良くはありませんが、これが、壁を乗り越えていく時に役に立つんです。
人生を進んでいく時、必ず壁が現れます。たとえ好きなことをしていたとしてもです。弱音や愚痴や文句が言える人は、我慢して何も言わない人より甘え上手です。だから、人に助けを求めることもできます。弱音を吐いて、心がスッキリ晴れ晴れするので、壁を乗り越える知恵や意欲もわいてきます
「抱っこ法」で甘え上手になる手だてを知っていると、大人になって夢を実現していくのに、とても役に立つと思いますよ。