第2次世界大戦敗戦を挟んで日本のお産事情はがらりとかわりました。自宅出産から医療出産へと劇的にかわったわけです。あわせてGHQの指導のもと授乳はお母さんのおっぱいからミルクへとかわったのもこの時期です。
母子手帳の発育グラフはこの頃に欧米人レベルに近い設定で登場し、発育が遅い場合「おっぱいだけでは足りないね、ミルクをのませてあげてね」と出産、育児が消費サイクルへと組み込まれていきました。
その結果、今では日本人も外見は欧米人に近い成長を果たすこともできています。また、戦前では助からない命も母子ともに助かったり、医療の発達で危険なお産も事前に予測しリスクを減らすこともできています。
しかし、失ったものも大きくミルクから始まった新しい食生活を実践してきた女性たちは、体も生活スタイルも欧米化し「産む力」を萎えさせているかもしれないのです。
バースハーモニーの院長齋藤純子さんがインタビュー中で語っているのは、食と合わせて生活スタイルの変化が骨盤を衰ろえさせているということ、自然なお産や自宅出産を望むなら「産めるからだづくり」からはじめる覚悟と自分と向き合う主体性についてです。
産む場所の選択肢がなかった戦前とは違って、今や自宅出産は新しい生き方として選択肢の一つにもなりえているわけですが、肝心な「産むからだ」は戦前に置き忘れてきたようです。
ブリージング的にいうと、自宅出産から出産医療への転換は、へその緒を早期に切り母子分離の促進を実現してしまったことを意味し、その影響が少なからず今日に現れていると考えます。
へその緒が早期に切られることで初めての呼吸が傷つけられ、同時に母子分離がおきることで感情的なパニックも生じかねません。
さらに出産直後の母子分離の時間の長さによっては、初乳が飲ませられないことなどから母親の妊娠・出産モードから育児モードへのスイッチが切り変わりづらくなります。つまりお産が首尾よく終わらないままに曖昧な授乳生活のスタートを切ることとなり、その後の育児生活にもぎごちない状況を作ります。
産後もとの西洋的な食生活にもどると、陰性過多・陽性過多の食生活に戻ってしまい血液が酸性過多になりがちです。この酸性過多がおっぱいをどろどろにし、根詰まりの原因になっていきます。あるいはあかちゃん自身がおっぱいをすっぱく感じたり、苦く感じたりすることが増え、飲みが減ります。すると飲んでもらえないおっぱい成分が詰まるという悪循環がうまれます。おっぱいの味は右と左で違い、飲みやすい方ばかりを徴用することになり、片方は詰まり易くなり最終的に出なくなることもある訳です。
また、出産後すぐに職場復帰する女性も多く、授乳生活が物理的に困難なものになったり、生産的な生活スタイルへの復帰が育児ホルモンから繁殖ホルモンへと移行すことを促し、その結果生理が始まることで授乳生活の終わりを告げます。
骨盤は授乳期間中は妊娠出産時と同じく緩み開いており、生理は基本的に有りません。
生理の始まりは骨盤の閉まりを意味し、性欲も出てきます。
女性の体は太古の時代とかわらず、必要に応じて劇的に変化するようにできているようですが、昨今では生活スタイルや環境にともなったメンタル性も変化を起こす、あるいは起こさせない要因となっているようです。
おっぱいを飲む期間が短く哺乳瓶で育った子供たちは口で吸う力とあごの力が弱くなります。哺乳瓶は簡単にミルクを吸えるようにできていますので、お母さんの乳りんをくちびるで押しながら密閉状態をつくり強く吸わないとおっぱいが飲めない赤ちゃんに比べ、鼻呼吸の必要性が減ります。
お母さんのおっぱいを長い間吸うことのできた子供は、口が密閉状態にあるとき鼻だけの呼吸をよぎなくされた子供たちであるといえます。
鼻呼吸がむつかしく、運動時でもないのに口呼吸になりがちな人は、赤ちゃん時代に哺乳瓶で育った人かもしれません。
自宅出産(自然出産)は初めての呼吸を豊かな体験として受け入れることができ、新しい世界や体験の受容はとても自然にできていくのかもしれません。
一方、病院のお産でへその緒を早期に切られた人たちにとって初めての呼吸は過酷な体験かもしれず、新しい世界や体験の受容はとても不安と恐れに満ちていて差し迫ってくる体験になるかもしれません。
さらに出産後の母子関係は授乳期間のスタートの切り方とあり方次第では、鼻呼吸のできる自然体で集中力のある人になるか? 浅く急いたような口呼吸の癖がついてしまい、落ち着きと集中力のない人になっていくか? の岐路に立つことも考えられます。
参照 ☞ 誕生と呼吸の関係
追記
上記の映像は私が制作したものです。今回は自宅出産の今昔をテーマにしましたが、今後も今回記事にしたような内容でもバースハモニー自宅出産をKEY局に映像作りができればよいと考えています。
前田正秀
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